医療・福祉の現場で、スタッフ間の良好なコミュニケーションは、
ケアや治療の質を向上させるために不可欠です。
また、価値観や理念の違いから生じる対立や
ジレンマを解消するには、
倫理カンファレンス のような仕組みが効果的です。
この記事では、スタッフ間のコミュニケーション改善 と
倫理カンファレンスの具体的な実践方法 を解説します。
1. スタッフ間のコミュニケーションを改善する方法
問題点:なぜコミュニケーションが難しいのか?
- 多忙な業務の中で話す時間が取れない
- 職種や役割の違いから、視点が異なる
- 感情的な衝突が発生しやすいストレス環境
解決策:すぐに実践できるコミュニケーション改善のポイント
1. 報告・連絡・相談の質を高める
報告の基本ルールを統一する:
報告の際は「結論→理由→補足」
の順序で簡潔に話す。
例:「〇〇さんの血圧が上昇しています(結論)。
昨日から水分摂取が少なかったようです(理由)。
水分補給の量を増やす提案をしました(補足)。」
連絡のタイミングを明確にする:
どのような事象を共有すべきかをマニュアル化する。
2. ミーティングを活用する
短時間でも定期的に実施:
朝礼や終礼でその日の注意点や改善点を共有する。
意見を出しやすい雰囲気を作る:
「どんな小さな意見も歓迎する」
姿勢をリーダーが示すことで、
発言のハードルを下げる。
3. 感謝と承認の言葉を増やす
・「助かりました!」「ありがとうございます」
を意識的に伝える。
・個人だけでなくチーム全体の成果を称える。
例:「今日はスムーズにケアが進みましたね。
みんなの連携が素晴らしかったです!」
2. 倫理カンファレンスの実践例
倫理的な問題やジレンマに直面した際、
チームで話し合い、解決の糸口を探る場 が
倫理カンファレンスです。
これは、スタッフ間の意見を調整し、
利用者や患者に最善のケアを提供するための
有効な方法です。
倫理カンファレンスを行う目的
- 倫理的な問題に対する多様な視点を共有する
- 利用者本人や家族の意思を尊重したケアを選択する
- 職種間の協力関係を強化する
具体的な実践ステップ
1. ケースを明確にする
倫理的に判断が必要な事例を選ぶ。
例:
- 延命治療を続けるべきか、自然な最期を支えるべきか。
- 認知症の高齢者への身体拘束を避ける方法はあるか。
2. カンファレンスの進行手順
参加者を明確にする:
関連する職種(医師、看護師、介護士、
リハビリスタッフなど)が参加。
問題を共有する:
ケースの背景や現状を全員で把握する。
例:
- 「患者さんの希望は何か?」
- 「家族の意見はどうか?」
- 「スタッフ間での意見の相違点はどこにあるか?」
3. 多職種の視点を引き出す
- 医療面からの意見:治療の必要性やリスク
- 介護面からの意見:生活支援やQOLの視点
- ソーシャルワーカーの意見:家族や社会的支援の状況
4. 合意形成に向けた議論を行う
- 利用者本人の意思や価値観を中心に据える。
- 感情論ではなく、客観的なデータや事例をもとに議論する。
- 全員が納得できるケアプランを作成する。
5. 実行と振り返り
- 決定したケアプランを実行し、結果をモニタリングする。
- 必要に応じて再カンファレンスを行う。
3. 成功例:倫理カンファレンスの具体的なケーススタディ
ケース1:延命治療の是非について
背景:
80代の高齢者が、末期がんで入院。
家族は「できる限り延命を」と希望しているが、
本人は意識がなく、延命治療の負担が大きい。
カンファレンスの進行例:
参加者:
主治医、看護師、家族、ソーシャルワーカー
議論内容:
- 医師:延命治療のメリットとリスクを説明
- 看護師:治療による身体負担とQOLへの影響を共有
- ソーシャルワーカー:家族の不安や希望を聞き取り、伝達
合意形成:
家族とスタッフが話し合い、延命治療を控え、
緩和ケアを中心に進める方針に合意。
ケース2:認知症患者の身体拘束について
背景:
認知症の患者が夜間に頻繁に徘徊し、
転倒のリスクが高い。
家族からは「安全のための拘束」
を希望されている。
カンファレンスの進行例:
参加者:
介護士、看護師、リハビリスタッフ、家族
議論内容:
- 介護士:拘束以外の見守り方法を提案
- 看護師:転倒リスクを減らす環境改善の可能性を共有
- リハビリスタッフ:歩行訓練のプログラムを提案
合意形成:
見守りの頻度を増やし、拘束を行わない方針に合意。
4. まとめ:コミュニケーションと倫理カンファレンスの相乗効果を活かす
スタッフ間のコミュニケーション改善と
倫理カンファレンスの活用は、
医療・福祉現場の質を高める鍵です。
以下のポイントを意識して実践しましょう:
- 報連相を徹底し、話し合いの機会を増やす
- 多職種の視点を尊重し、利用者本人の意思を重視する
- 具体的な手順を踏んで倫理カンファレンスを行う