1. ケアの優先順位の違いによる対立
何を最優先にするか? 治療か生活支援か
医療・福祉の現場では、ケアの目的や方針において
意見が分かれることがあります。
医療的アプローチ重視:
病気や症状の治療を最優先し、
医学的根拠に基づいて進める。
例:「まずはこの症状を抑えないと
利用者の生活が成り立たない。」
生活支援アプローチ重視:
利用者の生活の質(QOL)を重視し、
日常の快適さや本人の希望を優先する。
例:「治療よりも、本人が望む
生活スタイルを守ることが大切。」
この違いが浮き彫りになる場面として、
次のような例があります:
介護施設での延命治療:
延命のための治療を続けるか、
それとも自然な形での最期を支えるか。
病院での高齢患者へのアプローチ:
治療の負担を減らし、生活支援にシフトするか。
対立を防ぐポイント
利用者本人の意思を尊重する:
本人の価値観や希望をしっかりと聞き取り、
共通の方針を立てる。
チームで優先順位を共有する:
職種や立場を超えて話し合い、
共通のゴールを明確にする。
QOLと治療のバランスを考える:
医療の成果と生活の質を
両立させる視点を持つ。
2. 倫理的なジレンマによる葛藤
倫理的判断が問われる場面
医療・福祉の現場では、倫理的なジレンマに
直面することが多々あります。
延命治療の選択
・患者や家族の希望に反して、
どこまで延命治療を続けるべきか。
・医療者側としては、
「身体への負担」や「本人の尊厳」を
考えた選択が求められる。
終末期ケア(ターミナルケア)の方針
・自然な最期を支えるために治療を控えるか、
それとも最期まで医学的介入を続けるか。
・家族の意見と本人の希望が一致しない場合、
現場スタッフは大きなジレンマを感じる。
認知症ケアにおける「抑制」問題
・転倒予防のために身体を拘束するか、
自由な生活を優先するか。
こうした状況では、
何が「正しい選択」なのかを見極めることが難しく、
意見が分かれることで
スタッフ間の対立が起きやすくなります。
3. チームで倫理的ジレンマを乗り越える方法
共通の価値観と方針を持つ
倫理カンファレンスを実施する
倫理的な問題や判断が必要なケースについて、
チーム全員で話し合う場を定期的に設けることで、
意見をすり合わせることができます。
ガイドラインやプロトコルを共有する
組織としての指針やガイドラインを明確にし、
判断の基準を共有することで、
個々の価値観の違いを調整します。
多職種の意見を尊重する
医療職・福祉職それぞれの専門性や視点を
尊重しながら、最善のケアを目指します。
利用者本人や家族との対話を大切にする
倫理的なジレンマが発生した際は、
利用者本人の意思 を最も大切にすることが基本です。
同時に、家族や関係者との対話を通じて
理解と合意を得ることが重要です。
まとめ:価値観や理念の違いを乗り越えるために
医療・福祉の現場では、
スタッフ間や関係者との間で
価値観や理念の違いが生じやすく、
対立や葛藤が起きることがあります。
しかし、
最終的な目的は
「患者や利用者の幸福」 です。
その目的を共通のゴールとして認識し、
以下のポイントを意識することが大切です
- チームで方針を共有し、コミュニケーションを密にする
- 利用者本人や家族の意思を尊重する
- ガイドラインや倫理カンファレンスを通じて判断基準を統一する
価値観や理念の違いを乗り越え、協力し合うことで、
医療・福祉の現場全体がより良いケアを提供する場所
へと進化していきます。