医療・福祉の現場では、
患者や利用者の生活や健康を支えるために、
医療職と福祉職が連携して
働くことが欠かせません。
しかし、
それぞれの職種には異なる視点や価値観があり、
これが連携の難しさにつながる場合もあります。
今回は、
医療職と福祉職の考え方の違い を掘り下げ、
その違いを理解しながら
連携を深める方法を探ります。
1. 医療職と福祉職の基本的な役割と視点の違い
医療職の視点:科学的根拠に基づく健康の管理
医療職(医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフなど)は、
患者の病気や障害を治療し、
健康を回復・維持することを主な目的としています。
目標:
病状の改善、生命の維持、治療の最適化
アプローチ:
科学的根拠(エビデンス)に基づいた診断と治療
時間軸:
短期的な効果や治療の進捗を重視
福祉職の視点:生活の質(QOL)の向上
福祉職(介護士、ソーシャルワーカー、
ケアマネージャーなど)は、
利用者の生活全般を支援し、
社会的な自立や快適な生活を目指します。
目標:
利用者が自分らしく生活できる環境を整える
アプローチ:
本人の意向や社会資源を活用した支援
時間軸:
長期的な生活の維持や向上を重視
2. 考え方の違いが表れる場面
① ケアの優先順位
医療職:
命を最優先に考え、治療を中心にケアを進める。
例:
「この患者さんの血圧を安定させることが最優先です。」
福祉職:
利用者の希望や生活の質を考慮した支援を重視。
例:
「利用者さんが家で過ごすことを希望しているので、
在宅支援を検討しましょう。」
② 利用者との関わり方
医療職:
医学的に必要な判断や指導を行う。
例:
「服薬のタイミングを守らないと、
治療が効果的に進みません。」
福祉職:
利用者の気持ちや希望を尊重し、
寄り添う姿勢を大切にする。
例:
「服薬が難しい場合、
一緒に続けられる方法を考えましょう。」
③ 時間の使い方
医療職:
一人の患者にかけられる時間が限られているため、
効率的に情報を集めて判断する。
福祉職:
利用者との時間を大切にし、
対話を通じて信頼関係を築く。
3. 考え方の違いから生じる課題
価値観の衝突
医療職:
「治療を優先するべきだ」と考え、
迅速な決定を求める。
福祉職:
「本人の意向を十分に考慮するべきだ」と考え、
慎重な対応を求める。
情報共有の不足
医療職
治療計画を中心に考えがちで、
福祉職との生活支援に関する情報共有が
不足することがある。
福祉職
医療的な情報への理解が不十分で、
治療方針を深く共有できないことがある。
4. 医療職と福祉職が連携を深める方法
① お互いの専門性を尊重する
医療職と福祉職それぞれの役割を明確にし、
相手の視点や価値観を理解することが重要です。
例:
「医療面は医師や看護師に相談し、
生活面は介護士やソーシャルワーカーに
アドバイスを求める。」
② 定期的な情報共有を行う
チームミーティングやカンファレンスを活用して、
ケア方針や進捗を共有します。
例:
患者や利用者の治療計画に、
生活支援の視点を取り入れる。
③ 利用者の中心に立つケアを心がける
「患者や利用者がどのような生活を望んでいるのか」を軸に、
医療職と福祉職が協力する。
例:
「治療をしながらも、自宅で家族と過ごしたいという
希望をどう実現するかを考える。」
④ 互いの知識を深める機会を作る
医療職と福祉職がそれぞれの専門分野について
学び合うことで、連携がスムーズになります。
例:
医療職向けに福祉の法律やサービスの研修を行い、
福祉職向けに基礎的な医学知識を共有する。
5. 医療職と福祉職の連携がもたらす効果
患者や利用者にとってのメリット
医療と生活支援が一体となることで、
治療の効果が高まり、生活の質も向上する。
例:
在宅医療と訪問介護の連携により、
入院せずに自宅で安心して生活できる環境が整う。
現場にとってのメリット
チーム内の信頼が深まり、業務効率が向上する。
例:
医療職が福祉職にサポートを依頼することで、
迅速かつ的確な対応が可能になる。
まとめ:違いを理解し、相乗効果を生み出す連携を目指そう
医療職と福祉職は、
それぞれ異なる視点や価値観を持ちながら、
患者や利用者を支えるという共通の目的を持っています。
違いを否定するのではなく、
お互いの強みを活かし合う連携 を進めることで、
現場のケアや支援の質が大きく向上します。